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バッティングのときの「目の使い方」、意外に大事です。

どんなに素晴らしいスイングをしても、ボールをちゃんと見ていなければバットに当てることはできませんよね。

普段のバッティング練習では、フォームのことばかり気にしていませんか?

手や脚の動きばかり気にしすぎて、肝心の「ボールの見方」の練習がおろそかにしてはいけません。

今回は、バッティングをするときの「目の使い方」や「ボールの見方」について、どう意識したらいいのか、を解説していきます。

ボールの見方ひとつを変えることで打率がぐんと上がるかもしれません。

では、まいりましょう!

目に力を入れない

監督やコーチに「ボールをちゃんと見ろ!」と言われたとき、「よし!しっかり見なきゃ」といって、めいっぱい目ん玉に力をいれてはいけません。

なぜなら、目に力を入れて頑張れば頑張るほど、体も一緒に緊張してしまうからです。

目の奥の筋肉が緊張すると、首の筋肉も緊張します。そうなると頭が前にずれたり、肩に力が入ったりしてしまいます。

スマホを夢中に見ている人が、このような姿勢になっているのを見たことがあるのではないでしょうか。

猫背になって、あごが上がり、頭が前に出ていますよね。本人は気づいてないかもしれませんが、はたから見ると変な姿勢。これと同じようなことがバッティングのときにも出てしまいます。

目に力を入れすぎると体全体が緊張し、姿勢が崩れ、動きの固いバッティングフォームになるわけです。

ですから、柔らかい動きのバッティングをするには、出来るだけ目に力を入れない方がいいのです。

広い視野で見る

では、目に力を入れないでボールを見るにはどうしたらいいの?という疑問が生じると思いますが、

その答えは、広い視野で、投手の動き全体を見ましょう!」ということになります。

広い視野で見ようとすると、自然と目の奥の筋肉は緩みます。身体全体も余計な緊張が入らないため、柔らかなバッティングフォームが可能となるわけです。

 

日本プロ野球史上唯一となる3度の三冠王を達成した落合博満さんは、「投手の動きを景色として記憶する」と語っています。

なかなか難しい表現ですが、「視野を広くして見る」と同じような意味合いでしょうか。

また落合さんは、投手のフォームをコマ送りの写真のようなイメージでとらえていたそうです。

 

ピッチャーが投球するとき、球種の違いやバランスの違いによってフォームに若干の変化が現れます。

「カーブを投げるときは、頭が左に傾く」

「スライダーを投げるときだけ、身体が沈みリリースポイントが下がる」

といったように、強い意識による身体の反応がフォームに現れてくるわけです。クセではなく、身体の自然な反応による「動きの違い」なので、簡単に直せるものでもありません。

相手投手のフォームを写真の1コマとしてとらえることができると、このようなフォームの微妙な動きの違いを瞬時に察知することができます。そうすると、ボールを早く見極められ、変化球に対応することができるんですね。

 

投手の動きを景色として記憶するときのコツは、

「投手の背後の景色と合わせて見ること」

例えば、この写真のようにセンターの後ろにある緑色のバックスクリーンやフェンスを背景としてピッチャーの写真を撮るとしましょう。

ボールが指から離れる瞬間を写真で撮ったとしたら、緑色の背景にピッチャーの投げている形がくっきりと浮かび上がって見えてくるように感じられませんか?

このように見ることができると、

「ストレートを投げるときは、センターフェンスの上端と手首が同じ高さになる」

「変化球だとフェンスの上端と頭の距離が遠くなる」

といったように、球種による投げ方の違いが、よりはっきりと分かるようになります。このピッチャーの絵を打席の中で記憶するわけです。

投げた瞬間に球種が分かるということは、バッターにとっては、気持ち的にも技術的にも余裕をもって打席に立つことができるということになりますね。

「ボールリリースの指先を集中して見る」という選手もいますが、そのような目の使い方では、ピッチャーの動き全体を見ることはできません。

三冠王の極意「広い視野で投手を景色として見る」を身につけてみてはどうでしょう!

 

打席の中では、常に同じ位置に立つ

さきほどバッターは「投手を景色(絵)として記憶しよう!」と言いました。

投球フォームの絵を正確に記憶するためには、バッターが打席に立つ位置を常に一定にしておかなければいけません。

当然ですよね。毎度毎度、打席に立つ位置が変わっていたら、背景とピッチャーとの位置関係がめちゃめちゃになってしまい、せっかく記憶した絵が使えなくなってしまいます。

打席に立つときには、毎回同じ位置で構え、しっかりと足場を整えることで、目の位置を同じ位置に持ってくるわけですね。

バッターボックスの中は、だいたいがデコボコ状態になっています。デコボコ状態の土を自分の足で平らにならす必要があるわけです。

ですが、前の打者によって掘られた足場に、自分の足を同じように簡単に乗っけてしまうことが多いのではないでしょうか。

投手と打者は、数センチ、数ミリの世界の勝負です。

打席での立ち位置を正確にすることで、その数ミリの世界を打者有利に進めることができるのならば、やっておいた方がいいと思いませんか?

早く始動する

バッターは、ピッチャーによって投げられたボールを見る時間が長ければ長いほど、ストライクやボール、変化球などの見極めがしやすくなります。

ボールを長く見るための方法は、ボールとバットの距離を遠くすること。いわゆるトップの位置をより深くキャッチャーよりにとるということです。

弓矢の弓をしっかりと後ろに引いて力をためるようなイメージですね。

そのために必要なことは、「早い始動」です。

バッティングは、まず後ろ足に重心を移動して力をため、そのあとに重心を前脚に移動しトップを作りながら踏み込んでいきます。

  1. 後ろ足に重心を移動させるタイミング
  2. トップを作るタイミング

「早い始動」のためには、この2つのタイミングがポイントになります。

1.後ろ足に重心を移動させるタイミング

「ピッチャーがテイクバックをとる動きに合わせて、バッターも後ろ足に重心を移動させる」

ピッチャーの動きにバッター自身の動きを同調させるわけです。

「シンクロ」と言われたりもしており、タイミングの取り方によっていくつか種類があるようですが、ピッチャーの動きに合わせて、同じような動きをするこの方法は、非常にわかりやすく、やりやすい方法だと思います。

2.トップを作るタイミング

「ピッチャーの手からボールが離れる瞬間にトップを作る」

トップを作るタイミングが遅いと、深い位置でトップを作れなくなるためボールを見る時間が短くなります。

逆に早すぎると、スイング自体の動きがストップしてしまうためエネルギーのロスが大きくなり、力強いスイングができなくなります。

ピッチャーの手からボールが離れる瞬間に、バットが最大に後ろに引っ張られ、狙いを定めている状態ですね。

 

バッティングにおけるタイミングの取り方は感覚でやっているという選手が多いと思いますが、このような2つのポイントを持っているだけで始動を早くすることができ、ボールを長く見ることができます。

タイミングやリズムというのは人それぞれ違うので、この方法がすべてというわけではありません。

自分に合ったタイミングの取り方を工夫してみるのもいいかもしれませんね。

ボールの内側を見る

「ボールを打つときは、インサイドアウトで!」

よく聞きますね。

アウトサイドインのスイングというのは、いわゆるドアースイングです。始動が早く、大振りをするときになりやすいですね。ボールを外側から叩くので、ひっかけた打球が増えます。

インサイドアウトのスイングは、わきがしっかりと閉まったコンパクトなスイングで、スピードも速くなります。

ボールを長くみることができ、打球はセンターライン方向へ飛んでいくので、ヒットにもなりやすいと言えます。

「インサイドアウトのスイングをするためには、ボールの内側をみましょう!」

西武ライオンズの秋山翔吾選手は、「ボールの右側(内側)を打つ」という意識をもったことで打撃が開眼したそうですよ。

あごを引く

ボールを一生けんめいに見ようとすると、体に力が入り、頭が前につっこみ、あごが上がると言いました。

ボールを正確にとらえるためには、できるだけボールを正面から見ることが大切です。

あごが上がってしまうと、ボールと目の距離は遠くなってしまうので正確にとらえることが難しくなります。

また、あごが上がるとわきが開いてしまうため、肩の開きが早くなったり、力の入ったスイングもできなくなります。

打率の良い選手はあごが下がっています。

「頑張って一生けんめい打ってやろう!」という強い気持ちが空回りして、あごが上がらないようにしたいですね。

積極的に前に踏み込む

ピッチャーから投げられたボールは、キャッチャーミットにおさまるまでに0コンマ何秒かしか、かかりません。

その間にバッターは打つか見送るかを判断しなければいけないわけです。頭で考えていては、とうてい間に合うような時間ではありませんよね。ピッチャーが投げたボールに対して、ほぼ反射的に体をコントロールしなければいけないのですが、ボールを長く見ようとする意識が強すぎると、体の動きが止まってしまいます。

ですから極端な話、すべてのボールを積極的に打ちに行くという姿勢がとても大切です。頭で考えている暇はありませんから。

「積極的に前に踏み込んでいって、ボール球は見送る」といった打ち方を練習してみましょう。

上の2つのタイミングの取り方.のうちの「2.トップを作るタイミング」で、後ろ足から前足への体重移動の仕方や体重の配分の仕方も合わせて工夫するといいでしょう。

あまりに後ろ足に体重が乗りすぎていたら、積極的に前に踏み込むことができなくなってしまいます。

まとめ

いかがでしたか?

バッティングはフォームだけではなく、ボールの見方でも結果に差が出てしまいます。

今後の練習では「ボールの見方」も、ぜひ取り入れてみてくださいね。

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参考書籍


バッティングドリル教材

プロ野球選手になるために小学生のうちにやっておくべき練習~動作分析のスペシャリストが教える「22のバッティングドリル」~

プロ野球選手になるために中学生のうちにやっておくべき練習~動作分析のスペシャリストが教える「24のバッティングドリル」~